大型バスやトラック、あるいは営業車両などのボディに、写真が描かれているのを見たことがないでしょうか。まるでボディに初めから印刷されているかのように綺麗で、いったいどうやって写真を描いているのだろうかと疑問に思ったことのある方もきっと少なくないことと思います。文字やロゴ程度であれば、手書きでペイントすることも可能でしょうが、写真ともなると手で描くことはできません。もちろん、ボディに印刷することも不可能です。
ではいったいどのようにしているのでしょう。実は車両ラッピングという特殊な技術が用いられており、専用の薄いフィルムの上に写真を印刷して、それを引き延ばしながら車両に貼り付けているのです。印刷技術が応用されているので写真のような繊細なデザインを描くことも可能なのです。近くから見ても、フィルムが貼り付けられていることがわからないほどで、各種宣伝広告や会社のロゴ、あるいはオリジナルのカラーリングなど様々なボディのデザインに応用することができます。
このラッピング技術は1990年代後半にアメリカで生まれ、2000年代に入ってから徐々に日本でも導入されるようになってきました。特に路線バスやトラックなど大きなボディ面積を有する車両に多く活かされ、走る宣伝広告のように用いられるようになりました。このラッピング広告から得られる収入が、経営不振にあえいでいた路線バス業界の窮地を救ったとも言われているほどなのです。